先日、お直しのご依頼を頂きました。
お預かりしたのが、上の写真のスーツでございます。一見、普通のW4ケ釦の
2ケ掛ですが、年男??の48歳。つまり、48年前のスーツなのです。
48年まえですよ!!!私も年男ですが、私よりも一回りも上なのです。
仕立・生地・副素材、全てに優れていれば、しっかり手入れをしてお召し
いただければ、このように残るものなのです。
こちらは、お持ちになられた方のお父様のスーツだそうですが、ベストとして
仕立て直し身に着けたいとのことからお持ち下さいました。
ちなみに、お父様はご健在です。
もちろん、こちらのお洋服は当店の物ではなく、今は無くなってしまった
テーラーの物ですが、こうして当店にお持ち下さって、その想いを形として
残していけるお手伝いが出来ることに、大変有難く感謝している次第です。
こういったことが、私が携わりたかった一つの仕事でもあります。
当店で御仕立て下さったスーツも、このように時を越え、受け継いで
頂ければ、それに勝る喜びはないのではないでしょうか。
洋服を受け継ぐのは、単にその物を受け継ぐだけではありませんので、
私が残していきたい服飾文化や職人技術の伝承に繋がるものでもあります。
やはり、御仕立て頂いたお客様と同じように時を重ね、お客様のお洋服を
見続け、何十年後に、ご子息に譲る時に、立ち会い、昔話に花を咲かせたい
ですね。
未来のために、まず、今を一生懸命に生きなきゃですね。
きっと強く熱い想いと信念が、素晴らしい店と洋服を作り上げていくと
信じて邁進していきます。
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